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信じる心がつなぐ未来

 6歳のHくんは、生まれつき左半身に麻痺がありました。幼い頃から手足の動きに不自由があり、歩くことや細かい作業が苦手でした。しかし、Hくんには、どんな時も明るく支えてくれるお母さんがいました。

 

 お母さんは、毎日Hくんのリハビリや療育に通いました。月に一度は1週間の入院をして、集中したリハビリを受ける生活。それは決して楽なものではありませんでしたが、お母さんは「この子が少しでもできることを増やせるように」と、前向きに取り組み続けました。

 

 そんな日々の中で、お母さんはHくんの将来について考え始めました。ソーシャルワーカーの先生からは「特別支援学校のほうがいいのでは」と勧められました。しかし、お母さんはHくんの成長を誰よりも近くで見てきました。「この子は、もっといろんなことに挑戦できる。できることを信じて、可能性を広げてあげたい。」そう思い、私立小学校の受験を決意しました。

 

 そこから、Hくんとお母さんの新たな挑戦が始まりました。ステップでのレッスンは、鉛筆を持つところからのスタートでした。手の力が弱いため、鉛筆がうまく動かせず、思うように線を引けません。何度も悔しそうな表情を浮かべましたが、それでもHくんは諦めませんでした。

 

「好きなことから始めよう!」と先生が提案し、Hくんの好きな塗り絵から指導を始めました。最初は色をはみ出したり、力加減がうまくいかなかったりしましたが、少しずつ指先の使い方が上達していきました。お母さんは「上手になったね!」と優しく声をかけ、その度にHくんの自信が育っていきました。

 少しずつHくんは鉛筆を上手に動かせるようになりました。それからは夢中で絵を描くようになり、新しい色を試しながら、紙いっぱいに広がる世界を楽しみました。

お母さんはその絵を一枚一枚、大切に部屋に飾りました。「Hくんが頑張った証だから」と、誇らしそうに微笑んでいました。

 

そして、少しずつ勉強にも取り組み、迎えた受験の日。

結果は――合格でした✨

 

 お母さんは静かに通知を受け取りました。当然のことだと思っていたからです。Hくんの努力を誰よりも近くで見てきたお母さんにとって、合格は驚きではなく、「やはり、この子ならできる」と確信していたものでした。

Hくんも誇らしげに「やった!」と小さなこぶしを握り、お母さんに満面の笑みを向けました。

 

このご家庭が何よりも素晴らしかったのは、お母さんの「信じる心」でした。人から何を言われても、自分の目で我が子を見つめ、我が子の可能性を信じ続けました。その強さと愛情が、Hくんの未来を切り拓いたのです。

「できるかどうか」ではなく、「やってみる」ことの大切さを、お母さんとHくんは教えてくれました。そして、愛情と信念があれば、どんな困難も乗り越えていけるのだということを――。

 

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カテゴリー: 不登校、発達障がいの受験情報

投稿日:2025年03月13日